卵巣破裂当日~D病院にて(1)
今年の6月に卵巣破裂→緊急搬送→摘出手術。その体験を書いています。
《前回》 「卵巣破裂当日~救急車にて(2)」
前回の続きです。
私を乗せた救急車は、
D病院に到着しました。
救急車のバックドアが開き、私はストレッチャーに乗せられたまま運ばれて行きました。
流れる視界の先に、救急外来の文字。
ストレッチャーは、救急外来の中に入るとすぐに停止。
すかさず、医師が1人駆け寄ってきました。
目力!
その医師の眼光の鋭さよ。
眼差しから、日々の緊迫感や緊張感が感じられる…
そう、
ここは救急外来。
様々な症状の緊急性のある患者が
運び込まれてくる所。
私もその、緊急性のある患者の1人。
私は今からこの場所で
この目力先生にお世話になるのだ…
目力先生は、強い視線をまっすぐ私に向け、
話しかけてきました。
熱視線で 私の やる気スイッチは ON にされた。
C先生からは動いてはいけないと言われていたけれど、
自分で出来ることはしたかった。
だって動けなくないのだ。
私は動けるのだ。
私のやる気スイッチは、
もう押されてしまったのだ。
私はヨロヨロと上半身を起こしていきました。
実況(独り言)を交えながら。
お腹に力を入れると痛むので、
腕の力を頼りに
ゆっくり体を起こしました。
体を起こしてしまえば、
あとはストレッチャーから降り、車椅子に座るだけ。
目力先生と救急隊員の人は、静かに見守っていました。
助産師さんは、ササッと私の横に立ち、
私に繋がっている導尿カテーテルのチューブと、採尿バッグを持ってくれました。
そしてとても心配そうに、
「大丈夫?」
と声をかけてくれました。
そんな優しい助産師さんに、黙ってうなずく私
隣には、採尿バッグ(中身あり)。
そして…
「産婦人科に、今から向かうと
連絡します!」
…目力先生は
私を診ないのか…
移動ができて検診台に自分で乗れる患者は、
専門の外来で診てもらうのだそうです。
目力先生にお世話になると思っていたけれど、
接したのは、この一時だけでした。
目力先生のあの鋭く熱い眼光は、
次の急患に注がれるのだ。
さよなら、目力先生。
熱視線をありがとうございました。
真剣なまなざしに、胸が熱くなりました。
助産師さんが、車椅子を押してくれました。
救急外来を出ました。
産婦人科外来に向かいます。
次回、「D病院にて(2)」に続く。
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・破裂当日~B病院にて 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10
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「おまけ通信」
目力先生の眼光の強さは、今でも印象に残っています。
ほんの少しの時間しか接していなかったんですけども。
救命への強い意志宿る眼光が、私のふにゃけた脳にズバッと突き刺さったのだと思っています。
目力先生は、動きはキビキビ、顔と体はシュッとしていました。
緊迫した現場に身を置くと、自然とそうなるのでしょうか。
私はしまりのない体で、
植田まさし先生が描くコボちゃんのような表情をして生きています。
コボちゃん ↓ 参考までに
最後までお読みくださり、
ありがとうございました。
内野 うめこ