卵巣破裂当日~B病院にて(10)
今年の6月に卵巣破裂→緊急搬送→摘出手術。その体験を書いています。
《前回》 「卵巣破裂当日~B病院にて(9)」
前回の続きです。
今回で、「B病院編」はラストになります。
救急車に乗る前に、夫と話ができました。
私は高齢になった母と、毎日電話で話をしています。
持病があり薬を飲んでいる母。
生理を止める注射を打った私。
その頃の私たちの会話の中心は、お互いの体のことでした。
私は母に、自分の体の状態を、もれなく話していました。
生理を止め、
数年間は薬で治療を続け、
そして良くなっていくつもりでいた私。
私は、卵巣破裂を滅多には起こらないであろうレアなケースとしてとらえていました。
なので卵巣破裂のことを、
まるで他人事のように母には話してありました。
母はそれをしっかりと聞いていました。
「破裂なんて、滅多に起こらないことだよ」
と言う私に、
「とにかく先生の言う通りに、ちゃんと静かに生活していなさいよ」と、
母はいつも心配してくれていました。
卵巣が破裂したと聞いたら、母はどんなにショックを受けるだろう。
胸が痛みました。
母に連絡がいけば、母から私の兄と妹にも、きっとすぐに連絡がいく。
ショックの連鎖。
母と妹との会話の様子は、容易に想像がつきました。
夫はここまで車で来た為、救急車には同乗せず、
この後 D病院にうちの車で向かいます。
私は、救急車の中にストレッチャーごと運ばれていきました。
夫が手を振りました。
私は手を振り返しました。
救急車のドアが閉まりました。
次回、「救急車にて(1)」に続く。
----------- これまでのお話(数字をクリック)---------
・卵巣破裂前日までのお話 全21話
・破裂当日~B病院にて 1、2、3、4、5、6、7、8、9、←前回
--------------------------------------------------------
ここからは、「おまけ通信」です。
私に書く余力があった時に、日々のどうでも良さげなアレヤコレヤを発信していきます。
たいした話は書かないので、読む余力のある方だけ良かったら読んでください。
私の直近の近況としてあげるなら、コレです。
薄暗い早朝、
私は朝食とお弁当を作るため、台所に立っていました。
夫が起きてきて、冷蔵庫からアイスコーヒーを出しながら、私の後ろ姿に話しかけてきました。
「ねぇ、黒いTシャツが白いよ」
私は包丁を持つ手を止め、どういうことだろうと考えました。
私が着ている黒いTシャツが濃い紫色に見えたとかならば、あらそう?と言って聞き流したでしょうが、黒Tが白いとなると、あらそう?とは言えない。
「白…?フケ…とか?」
私は振り返らずに聞いてみました。
「違うよー」と呑気な返答。
じゃあなんだね?どういうことだね?黒が白ってなんだね?どれくらい白いのかね?なんとなく白いのかね?真っ白なのかね?全体が白いのかね?一部が白いのかね?と聞いてみたいところでしたが、朝食と弁当作りの時間との戦い真っ最中であった為、質問はせず、包丁を持つ手を動かしながら考えてみることにしました。
薄暗い早朝である。
台所は煌々と電気がついている。
「わかった。照明の光にTシャツの表面の繊維のうぶ毛みたいなナンチャラが照らされて、その反射で白く見えてるんだよ」
私が手を動かし続けながらそう言うと、
「そうかもねー」と言いながら、
アイスコーヒーの入ったコップを持って、夫は居間へ行ってしまいました。
ね。
どうでもいい話。
まだ続くのよ。
夫が居間へ行った後、私は急に10年くらい前のことを思い出しました。
そう、あの時も私は台所にいた…
食器を洗っていた…
あの時…
私が夕飯後にお皿を洗っていると、歌番組を観ている夫が、居間から声をかけてきました。
「今、郷ひろみがパレードしてるよ。見においでよ」
郷ひろみが歌番組でパレード?
やだ、ちょっと気になる。
私は洗い物を途中で止め、居間へ行きました。
テレビには、2億4千万の瞳を熱唱している郷ひろみが映っていました。
ひろみはパレードなんてしていない。
エキゾチックジャピャーン と1人で弾けてカッコいいひろみ。
「パレードじゃなくて、メドレーの間違い?」
そう夫に聞きましたら、
「ああ、そっちだった」と笑顔で返されました。
レとドと伸ばす棒は一致していたな。
そんなことを思い出した朝でしたよ。
窓を開けたら金木犀の香り。
秋ですね。
おまけ通信、おしまい。
本編よりおまけの方が長いような?