卵巣破裂当日~B病院にて(6)
今年の6月に卵巣破裂→緊急搬送→摘出手術。その体験を書いています。
《前回》 「卵巣破裂当日~B病院にて(5)」
前回の続きです。
C病院ではなく、D病院へ緊急搬送されることが決まった時、
連絡をしても応答のなかった夫から、やっと電話がかかってきました。
夫と会話をし始めた時、C先生が他の患者さん達の診察の合間を縫って、様子を見にきてくれました。
そう言ってC先生は私からスマホを受け取ると、今の状況とこれからの流れを、夫に説明してくれました。
一通りの説明のあと、C先生は夫に聞きました。
(先生)「ご主人、今どの辺にいますか?」
(夫) 「〇〇駅の近くです」
(先生)「それなら、こちらへ来るよりも、
そこからD病院へ向かった方がいいですね。
奥様は、後ほど救急車でD病院へ搬送されますので、
ご主人はD病院へ着いたら、受付でその旨をお伝えください」
C先生が手に持っている私のスマホから、夫の声はダダ漏れでした。
夫は直接、D病院へ向かうことになりました。
D病院までは、車で40分くらいかかります。
救急車の方が短時間で着くけれど、救急車はまだこちらに到着していないので、先に向かった夫と同じくらいのタイミングでD病院に着くかも…と思いました。
C先生は私に、
「ウッチーさん、朝ご飯は食べましたか?」
と聞いてきました。
私は、少しのお味噌汁と、ふりかけご飯をほんの2口食べたことを伝えました。
(以前使ったイラスト この時の記事はコチラ)
朝食を食べた時間、使った痛み止めの種類と使用時間も聞かれました。
そして、今の痛みの状態、吐き気の有無も確認されました。(卵巣破裂すると、嘔吐する場合があるらしいです)
先生が言いました。
「ウッチーさん、
手術のことを考えて、
食事はストップです。
水も飲めません。
水分は点滴からとります。
あと、もう動いてもらいたくないので、
トイレも行けません。
お小水を溜める為の管を
入れさせてください」
ということで、点滴をされ、尿道カテーテルも装着。(装着という表現は正しいのかしら?)
D病院まで付き添ってくれるという助産師さんが、搬送先で渡す私の診療関係の資料 を持ってやってきました。
これで、D病院への搬送の準備は整ったようでした。
あとは、救急車の到着を待つだけになりました。
それにしても、このB病院の婦人科の先生と看護師さん達は、みんなとっても親切で優しい。
あたたかい言葉や励ましを、この短い時間に何度かけてもらったか。
病んだ体と弱った心に、優しさが深く染みこんでいって、ずっと我慢していた涙が、とうとうこみ上げてきてしまいました。
でも、ウっと泣く瞬間…
お腹に力が入ると痛みが走るので、気をつけていたのだけれど。
泣く行為にさえ腹筋が使われているなんて…
まったくもって油断がならない。
「泣くのも笑うのも、お腹に力が入っちゃうものなんですね。
腹筋使わずに泣けるかやってみます」
そう言ったら看護師さんが笑ってくれたので、少し嬉しくなった私は微笑みを浮かべ(ちゃんと笑うと腹筋を使ってしまうので)、お腹に力を入れずにハラハラ泣きに挑戦しました。
とにかく、泣きたかった。
そして、ハラハラ泣きは腹筋要らずということを知り、こんな時にまた一つ賢くなったウッチ―、50歳。
点滴の管と尿の管につながれて、微笑みながら頰に涙を伝わせている姿は滑稽だったと思う。
そんな滑稽空間の壁の向こうで、意外な人物が到着しました。
「C先生、ウッチーさんのご主人がいらしてます」
その場にいた関係者全員、
「なぜ?」
という顔をしました。
夫…D病院に向かうと言っていたはず。
つい先程のこと。↓
ほぼ救急車と同時に、到着した夫。
なぜ?
なぜここにいるのだ、
夫よ。
次回、「B病院にて(7)」に続く。
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・卵巣破裂前日までのお話 全21話
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